鈴木畜産 鈴木さん

福島県石川町の魅力に迫る特別インタビュー企画。今回は、石川町のブランド牛「いしかわ牛」を、自家配合飼料とハチミツで育てている鈴木畜産の代表、鈴木智巳さんにお話を伺いました。

地の利と工夫で、牛の健康を第一に考えた飼育を

ー そもそもの質問となりますが、“石川はちみつ牛”について教えてください。

「石川町では“いしかわ牛”がブランド牛として認知されていますが、私たち鈴木畜産ではこの“いしかわ牛”を育てる際、はちみつを与えています。自家配合飼料とはちみつを与えられた牛は、コクのある脂がのった黒毛和牛に仕上がります。

(C)MOJI
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“石川はちみつ牛”は先代が約20年前に考案し、試行錯誤を重ねてきました。
私の代では、より多くの消費者の方に“石川はちみつ牛”を届けることができるよう、Webサイトや商品パッケージのデザインなどにもこだわり、安心安全ブランドとして確立していきたいと思っています」

ー 何故、はちみつに注目されたのでしょうか?

「牛たちのストレス軽減のために使いはじめました。ストレスがたまると自然と甘いものが欲しくなるのは、人間も牛も同じです。

父が“はちみつ牛”を発案した当時は、購入した子牛を石垣島から運搬していました。長距離移動で牛たちの体力が落ちますし、動きづらい時間が長いことでストレスがたまる。だから牛たちの心身を整えるために、はちみつを使い始めました」

ー 牛たちの元気の秘訣が、はちみつなんですね!

「正直なところ、牛にはちみつを与えることで肉の味が大きく変わることはないとは思っていません。他の畜産業者さんにもいろいろな考え方があって、餌に徹底的に拘る人もいれば、コストを重視する人もいる。
でも私たちは、肉の質を上げるためには、牛たちがよりストレスなく元気に育つことが何よりも大切だと思います。だから牛が口にするものは徹底的にこだわっています。

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牛の飼育は風邪や病気が天敵です。子牛は体調を崩しやすいので、健康状態には気を遣います。けれど、餌にはちみつを使い始めてからは、明らかに病気になる牛も減ってきています。はちみつは健康食品の代名詞ですから、牛の健康にもよい効果が出ているのかなと思って続けています」

ー 使用するはちみつには、どんなこだわりがありますか?

「約20年前からいろいろなはちみつを試しました。使う量が多いと、当然、はちみつ代だけでも結構な金額になります。一時はコストを下げるために安価なはちみつを選ぶこともありましたが、牛たちの心身について考えると、良いものを与えたほうが断然いいです。

現在は、県内の二本松市にある渡辺養蜂場から天然はちみつを仕入れ、天然水やビタミンなどの栄養材を独自の配合で加え、子牛に与えています」

若き畜産業者の1日の流れ

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ー 日々、どんなスケジュールでお仕事をされていますか?

「朝は6時から餌やりが始まります。餌自体はメーカーから取り寄せていますが、ふすま、大豆、小麦、トウモロコシなどの穀物全般を入れるなど、細かくオーダーを出してオリジナルのものを作ってもらっています。
当然、既存の飼料よりもコストがかかりますが、その分、良い肉になると考えてやっています。

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昼間は牛舎の掃除がメインですが、基本的には牛舎に居ないようにしています」

ー 何故、忙しい日中に牛舎にいることを避けるのでしょうか?

「人間が近くにいると、存在が気になって牛たちにストレスがかかってしまいます。あまりに負荷がかかると、ストレスで病気になることもあります。病気にさせないことが大切ですから、なるべく自分たちの存在を感じさせたくありません」

地域密着の強みを活かして、お客様のニーズに応えられるステージへ

ー 改めて鈴木畜産のホームページを拝見すると、デザインもオシャレで、見せ方もとっても工夫されていますね。

「今のサイトを立ち上げたのは1年ほど前で、郡山のデザイナーの方にご協力を頂きました。ここは田舎ですが、田舎だからこそ、自分たちの頑張りをインターネット上で広めやすいと感じます。都会は競合も多くネット上でも情報が埋もれてしまいがちですが、この辺りにはまだまだ競合が少ない状態だからです」

ー 現在はどのような販路で事業展開されているのでしょうか?

「主には、横浜の市場に卸しています。現在はまだ仕組みが整っていないため、ダイレクトに“石川はちみつ牛”という名前では卸していません。取引済みの問屋さんから買い戻した上で、“石川はちみつ牛”として自社で販売しています。

今後は、問屋さんの主導で“石川はちみつ牛”を売り出す方法について、考えているところです。そのほかには、町内の飲食店に1軒だけローストビーフを卸していて、これからステーキ等を扱うような話が出ています」

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ー 事業としての課題はどんなところに感じていらっしゃいますか。

「一番に取り組まなければならない部分は、認知を広げていくことです。石川町内や福島県内はもちろん、特に関東に向けて拡大していきたいと考えています。
とはいえ月の販売量が約20頭程度なので、頭数を増やすことからしっかりと取り組んでいきたいです。

もう一つは、販路を広げていくことです。県外のお客様にはWebショップをご案内しているところですが、購入場所や取り扱い飲食店のお問い合わせも増えているので、早くお客様のご要望にお応えできるようにしたいと考えています」

ー 地域密着型の畜産業ですから、地域の方々にももっと召し上がっていただきたいですね。

「実は、最初、『和牛は高いから田舎だと誰も買わないんじゃないか?』と思っていました。けれど売り方や見せ方、加工食品の種類など試行錯誤する中で、地域の皆さんが思いのほか受け入れてくださいました。

頑張って作った良いものなら、この田舎でもきちんと評価していただけるんだ、という気づきは、自分にとって大きな発見でした」

ー 町でビジネスを手掛けておられる中で感じていることを聞かせてください。

「この町や周辺地域には、大野農園さんや農園Cafeやいこばあちゃん、隣町の酒蔵など、工夫を重ねながら事業を仕掛けているチャレンジングな若い人が沢山います。

けれどまだ各事業体が点として頑張っているフェーズではあると思うので、業種や職種を越えてつながれる仕組みや制度があればいいと思います。行政のサポートにも期待しています」

石川はちみつ牛|有限会社鈴木畜産
農業経営改善認定者 農業生産法人 有限会社 鈴木畜産
〒963-7804 福島県石川郡石川町坂路字馬場宿78
TEL.050-3703- 8329
FAX.0247-26- 1732
http://hachimitsugyu.com/